【まちなかの散歩:136】何だったのか、この一年(2019年12月)

 大騒ぎして迎えた「令和元年」が、後1か月足らずで幕を閉じようとしている。年配の人でも、大正・昭和・平成にわたって年数を通算する煩雑さ耐えられず、西暦の数え方に転向していた人達までもがマスコミに乗せられて枕詞のように「“令和”初めて」と殊更に使った一年であった。
 年末が近づくと、今年の「流行語大賞」なるイベントが話題となる。12月2日午後5時に発表というから、この「まちづくりニュース」が皆様の手元に届く頃には発表されマスコミがこぞって取り上げるはずである。今年は候補の中に、お笑い系の言葉がないのが特色という。流行語の分析も良いが、免許制度で割り当てられた貴重な電波と時間を使う放送であり、読者が減り広告収入が減って少ない紙面の新聞なのだから、もっと割いてもらいたい「分析記事」があるはずだ。こう考えるのは世間の実態を知らぬ変わり者の考え方だろうか?
 大きな災害が日本列島を繰り返し襲い、もはや「異常気象」さらには「気候変動」であるとも言われ始めている。メディアの責務は災害現場での被害「中継」にとどまらず、その原因を(事前が最も好ましいが)「分析・解明」し、被害防止に貢献することに重点を置いてほしい。東京もオリンピック開催決定時は涼しかったから、マラソンで”おもてなし”と言えたのだろうに。
 豊中市でも大雨の度に頻繁に警報が発令されて驚いている。そんなに軟弱な都市になったのだろうか。桜塚に勤めている方々は、まちを隈なく歩いて危険個所を点検し対策を講じようとしてくれているのだろうか?芦屋川の砂防堤が砂で埋まっていたのを見たが、河川改修や危険箇所への建築禁止など、災害防止に勇気をもって行政責任が果たせているか?心もとない。駅からの陸橋に「凍結して危険注意」と警告するより凍結しない方法を考え、「危険家屋注意」と掲示するより除去に努めるのが責任であろう。その方法を示さず、実行せず、市民に危険回避義務を課すのは本末転倒、ホンマ問題である。
 ベルリンの壁が壊されて30年。日韓、日中、日米、日露の外交上の問題は解決を見ないままに年を越しそうである。我が豊中の名を有名にした森友学園問題時には豊中駅前地区住民だった籠池氏も政治家・官僚・司法界の「闇」に身を沈められ、W杯とプレ五輪、インスタ映え、おっさんずラブ・・・忘却の彼方である。かつての米国進駐軍が日本を治める有効な占領政策として3S(スポーツ、スクリーン、セックス)政策を進めたことをネットで知る。見事な貫徹ではないか。

(『豊中駅前まちづくりニュース』Vol.235に掲載)


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