【まちなかの散歩:138】2020年2月22日(2020年2月)

「令和元年」の騒ぎを終えて「2020年オリンピック年」を迎えた。流石に「令和2年の五輪」とは言わない。上手く使い分けて話題を作り出していく。「クリスマスにジングルベルでケーキを食べ、大晦日に年越しのそばを食って寺の除夜の鐘を聞き、雑煮を頂いて神社に初詣に出掛ける」とよく咎めるように取り上げられるが、これは変わり身の早さ、節操のなさと言うよりも多様な文化をすんなりと暮らしの中に受け容れる懐深い生活態度で生きていると考えても良いのだろう。
 年号について言えば、かつて「2000年問題」で大騒ぎした時が懐かしい。コンピューターが狂い情報データが消えることを案じて午前零時を固唾を飲んで迎えたことだった。今から思えば当時の社会はそんな基本的なことが分からないままコンピューターを受け入れ動いていたのだ。
今月2020年2月2日と22日が2のゾロ目になる。次に遊べるのは2022年2月まで待たねばならない。そんな話題を『企業戦士』に薫陶を受けて戦後日本の成長を支えてきた『団塊の世代』が優しい家族団欒の中で、元気で口にできる日々がくることを期待したい。
「2」と言えば、現政権からは口汚く罵られている民主党政権発足の頃、“歳出削減”めざして「事業仕分け」作業を公開でやっていた時のことを思い出す。次世代コンピューターの導入に際して「世界一をとることで国民に夢を与えることも目的の一つ」と説明した役人に対して、査定側の蓮舫参院議員が「世界一になる理由が何かあるんでしょうか?2位ではダメなんですか?」と問い質した。意表を突いた質問に反論もないまま、発言部分だけが切り取られ、彼女の“非常識な感覚“として取り上げられたが、その考え方・判断基準の是非が踏み込んで議論されることはなかった。今の日本の別の選択肢が提起されていたかもしれない。残念である。
 そして、一番!一番!金が儲かる!もっと早く効率的に!東京に負けるな!の流れは変わらず、「今、東京の天気は・・・」で始まるTVの天気予報の報じ方やNHKの全国放送の夕方の番組名が「渋(谷)5時」。こんな現状をそのままにして、ふるさと納税を囃しても地域が活性化するはずはない。2番が嫌いで1番が好きな大阪人には、今年11月1日の「大阪都構想」の住民投票が経験できるだろう。日本で一番の東京人は、これらの動きを生活体験としてどう考えているのだろうか?まさか、五輪夢中(五里霧中)の都民・区民ばかりでもあるまい。また大阪よりも人口規模の大きい都市の市民はどう考えているのだろうか。今だからこそメディアに取り上げて欲しい。「位置について、よーいドン」である。“ゴーン”の一音で風にかき消されない議論が必要だ。

(『豊中駅前まちづくりニュース』Vol.237に掲載)


※まちなかの散歩のバックナンバーはこちらをご覧ください。