【豊中駅前の歴史:103】豊中駅前交通実験(2019年4月)

今年も恒例の七夕まつりの開催に向け準備が始まっています。昨年、会場で行ったアンケートでは、圧倒的に多くの参加者が、「『歩行者天国』になった商店街での屋台やイベントが楽しい」と答えています。住民やまちの利用者の車に邪魔されず、「ゆっくり歩き回れるまち」への期待の大きさが見えます。
今から20年前、駅前を恒常的な歩行者天国にするための調査=「豊中駅前地区交通社会実験」が実施されました。今号では、この壮大な実験を振り返ります。「歩きやすい歩行者空間の確保」と「交通混雑の解消」を実現して、まちの賑わいづくり、活性化をはかる目的で、平成12年(2000年)4月27日(木)から4月30日(日)までの4日間実施されました。実施には豊中市、建設省・運輸省(現:国土交通省)、大阪府、大阪府警、銀座通り商店街、一番街商店街、新開地市場(現:マストモール)阪急バス、阪急タクシー、学識経験者と豊中駅前まちづくり協議会など、行政と住民の双方が主体的に取り組みました。
道路は銀座通りをバス専用、一番街を歩行者専用とし、バスなど公共交通の利用を高め、駅前に入ってくる通過交通を抑制すると同時に迂回させる実験でした。歩行者天国となった一番街では、七夕まつりのようなイベントが開催されました。無料循環バス(路線バスが通らない地区へ運行)を走らせ、商店街からは無料バス乗車券のプレゼント、路線バスの料金割引や運行情報の提供。放置自転車を減らすため、臨時の買物用駐輪場や共同荷捌き場の設置などなど。
その結果、まちを訪れる人が増加し、商店街は安全で快適な歩行者空間に生まれ変わり、まちは大変賑わいました。報告書にあるアンケートでは、実験中にまちを訪れた人々やバス利用者の7割以上が、「駅前周辺での公共交通を推進すべき」との回答でした。(詳しくは豊中駅前地区交通社会実験の概要※をご覧ください。)
 今年の春に就任した新市長は「豊中駅前周辺の再整備」を基本政策の一つとして掲げました。地元協議会の『豊中駅前まちづくり構想』と豊中市の『基本方針』で確認し合った「ゆっくり楽しく歩き回れるまちづくり」を実現するため、豊中市には本腰で取り組んでほしいと願いますし、我々も積極的に実現に向けての活動に取り組んでいきましょう。

※豊中市「豊中駅前地区交通社会実験の概要」(PDFファイル)


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