【まちなかの散歩:114】平成の時代に思う(2018年2月)

【まちなかの散歩:114】平成の時代に思う(2018年2月)
 2018年も早や1か月が経ち、「平成」の1月を過ごすのもあと1回だけとなった。昭和と平成の世を生きて、いよいよ3つの元号を生きる身になる。戦後の民主主義教育を受け、『新しい社会』を築こうとしてきた。その後、国際環境の変化により経済力が著しく高まる一方で、その社会・教育の内容が変化したと指摘されるようになるが、「我々は“禿鷹の前で戦うライオンといのしし”であってはならない」と説く当時の中学の教科書の冒頭に「学習のはじめに」として、「学ぶべき要点」が示されている。長文だが引用する。(新編『新しい社会』⑥ 東京書籍)

 『人と人とが、たがいに理解しあって、なかよくしていくことは、なかなかむずかしい。まして、それぞれ強い国民感情を持っている国と国が、協力しながら結びあっていくことは、いっそうむずかしいことである。これまででも、世界の国々が、心から理解しあって協力するということはできなかった。それぞれの国は、自分の国の立場を主張して、たがいに争うことが多かった。そして、その争いを武力によって解決するために、たびたび戦争が起きた。20世紀になって社会が進み文化が著しく発達しても、世界から戦争はなくならなかった。かえって、規模の大きい世界的な戦争が2度も行われ、人類は不幸のどん底に落ちていった。世界から戦争をなくし、国々の協力によって平和を保っていくためには、どのようにしたらよいか。この問題は、今日、世界じゅうのすべての人々が真剣に考えていることである。このために最も大切なことは、世界の人々が、たがいにもっとよく知りあい、理解し合うことである。これまでは、たがいに理解しあう努力をわすれて対立してきたことが多かったのではないだろうか。私たちはだれでも、日本がりっぱな国家として、他の国々と協力しながら発展していくことを願っている。このためにも、国民であるとともに世界の一員である私たちは、世界についての正しい知識と正しい生活の態度を身に付けなければならない。私たちは、戦争のない、平和な世界を築きあげるために、つぎのような点を学んでいこう。
(1)世界の現状はどのようになっているか。そして日本は、その中で、どのような地位をしめているか。
(2)世界における国と国との交わりには、どのような問題があるか。
(3)私たちは、世界を平和にするために、どのように考え、どのように努力をすればよいか。』

 国民のために自分の身を投げ出しても構わないと覚悟された父をもった息子の生き方は、その後の日本で「象徴」として、この教科書の精神を体現しようとされたのではなかろうか?「妻から教えられることで自分が成長してきた」と明確に言える夫は妻の誇りであろう。連れ合い・家庭・地域社会で人を大切にして残された「平成の時代」を全うしたいものである。

(『豊中駅前まちづくりニュース』Vol.212に掲載)


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