【まちなかの散歩:62】コラムのコラム(2013年10月)

【まちなかの散歩:62】コラムのコラム(2013年10月)
 あなたは、今年の花火をどこでご覧になっただろうか?
幼い頃に眠い中、父母に連れられて行った福知山の花火大会があんな惨事になってしまって本当に悲しい。夜空に展開される大きな花火に見とれてしまっている足元で起きてしまったまことに不幸な出来事である。

 この「まちづくりニュース」が10月上旬号で114回を数え、このコラム欄も83号を数える。いいよ(114)いいよと自画自賛し、日頃のうっ憤を発散(83)しているのかとダジャレが出る気分である。「よく飽き(空)が来ないものですね」と言われつつ・・・。
 その時々の思いを発行の半月前までに原稿を書き、紙面として割り付け、印刷、各新聞折り込みで、皆さんの各家庭に配達、ということになっている。上旬号(毎月第3月曜日折込)がこのコラムで、中旬号(毎月第1月曜日折込)が「豊中駅前の歴史を振り返る」である。
「豊中駅前の歴史を振り返る」は、『戦中・戦後の豊中駅周辺写真集』(写真提供:松浦幸夫氏)の映像版や『幼い頃の豊中駅前での戦争体験』(辻本龍男)等とともに、まちの変遷をつぶさに見て来た生き証人を尋ねて記事にしてきているシリーズものである。

 シリーズという“つながり”続きで言えば、豊中駅から10分の地にある“うめ北”のように、大きな集客施設が出来れば多くの人がやってきて賑わいは生まれる。七夕まつりや楽市・楽座やバルのようにイベントをやれば、ご承知の通りまちは賑わう。その積み重ねが人と人との“つながり”を作り上げていくというが、それがなかなか難しい。モノやサービスを受け取るための金銭の授受だけのつながりだけではなく、それぞれが他人への思いやりの心、他人の傷を癒せる心を持たねば“住みよい地域社会”は築けない。

 過去にこの欄で触れた内容であるが、再掲したい。桃太郎はイヌ(行動力)、サル(企画力)、キジ(情報収集力)を、腰に付けたキビ団子を分け与えて家来にし、鬼ヶ島に出かけている。鬼退治の鬼は、己の心に潜む他人を憎み、蔑む心であり、怠けようとする心ではないかと考えるが、3匹の家来に分け与えた“きび”団子は、「まちに住む人」「商売や事業をする人」「まちを舞台に活動する人」が、目には見えない糸で結びつくために不可欠な、心の襞(ひだ)、綾(あや)、機微(きび)=黍(きび)団子を示唆してくれているのではあるまいか。

 現在、これらのコラム集を手製の合本版(1号~83号、1号~50号)にしてまちづくり会社で頒布しているが、満州引き揚げ記『嗚呼命』の出来栄えに気をよくして、近々、美装の印刷製本版としてデビューの予定である。

 明けない夜は来ない。夜明け前が一番暗い。天空の花火にはなれないが、地域社会での暴発しない“ささやかな灯”となって一隅を照らしていたい。

(『豊中駅前まちづくりニュース』Vol.114に掲載)


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