【まちなかの散歩:76】開戦記念日(2014年12月)

 本紙が皆様の手に届く12月1日から1週間後の12月8日は開戦記念日である。今から73年前の1941年(昭和16年)の午前3時19分、「ニイタカヤマノボレ1208」(12月8日午前零時に戦闘開始)の暗号電報が打たれ、日本軍が真珠湾にある米軍基地を攻撃し、3年9か月の長い太平洋戦争が始まる。最後通牒を渡してからの攻撃開始の手続が遅れて奇襲攻撃になったと言われているが、映画にもなった「トラトラトラ」は攻撃の成功を告げた打電分である。終戦記念日が「戦争を考える日」として明確になっていないことにもまして、戦争を起こした社会状況を考える日を記念日として設けることに意味があるのではないか?
 そして明日12月2日に公示され、14日に投票日となる衆議院議員の選挙戦が始まる。メディアは、消費税増税延期の賛否を問うこと以外に意味がない解散であることを繰り返す。だが、そうであろうか? 経済政策に目を向け、先の消費税5%の福祉への配分、閣議だけの憲法9条変更による集団自衛権の可否、事故が収束せず汚染物質の最終処分地が決まられないままの原発再稼動の是非、沖縄の基地問題、韓国・中国との関係、北朝鮮との拉致交渉、特定秘密保護法、武器輸出3原則解禁、・・・♪あなたは、もう忘れたかしら、♪
 この「特定秘密保護法」の撤廃を決議した自治体議会が130あるという。大阪府では吹田市だけ。わが豊中市の名前はない。残念である。議論は十分にされたのだろうか?それとも「あれは国の事柄だ。市議会で考えることではない」と、だんまりを決め込んだのだろうか? 国会議員は、地元自治体議員の応援に負うところが大きい。地元議員が選挙の際には有権者を紹介して回る。市民もほとんど議論を見られない国会に代わって身近な議会での議論で国策を理解でき、市民である国民の声を政治家どうしで交換してもらえる利点がある。
 来年は、「統一地方選挙」の年で、知事・市町村長・議員の選挙がある。豊中市は、過去に任期途中で市長が変わっており、今年が選挙の年に当たっていた。だが、市長選挙は行われず4年間の豊中市政への評価の機会が与えられないままに終わってしまった。来年はそんなことを許した議員を評価する機会でもある。
 ドラマ『県庁の星』を観た。県職員である織田裕二が民間のスーパーに派遣されるが、役人の常識は全く使えず、お荷物とされてしまう。現場に出かけ市場調査を行い、自分の経験では分らなかったことに次々と気づき、スーパーの建て直しをして研修を終える。県庁に戻って自身の出世より県民の生活を重視した提案をするようになる。その感覚で県の事業の建設費の削減を提案するが、議会で高く評価したかに見えた知事が、「『私は、前向きに検討します』といっただけよ」とうそぶく。傍には、業界との癒着を噂されている議長が同席していた。
現場を見ない役人、役人が書いた原稿を見てしか喋れない大臣、争点をずらすマスコミ、さてどうする!
まさに「開戦記念日」である。今回を逃せば、しばらくは選挙がない。時あたかも、主君の無念を晴らした赤穂浪士の討ち入りが、この極月の14日である。各々方、この戦いには心して掛かられよ!

(『豊中駅前まちづくりニュース』Vol.141に掲載)


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