【まちなかの散歩:19】襟裳岬(2010年3月)

 春3月。大相撲・大阪場所。今場所、大いに活躍が期待される力士に蒼国来(そうこくらい)と隠岐の海(おきのうみ)がいる。二人とも豊中駅前には縁がある。豊中稲荷神社に稽古場を持つ荒汐部屋の内モンゴル出身の蒼国来、当まちづくり会社との関わりの深い隠岐の島町出身の隠岐の海。いずれも男前で好青年でもある。暗いムードの角界に爽やかな風を吹かせて欲しい。ついででは困るが、国にも自治体にも今年は清々しい風が吹くようにしたいものである。目をくらませるばかりのあの花も葉もない今こそ、季節が一巡し、その枝振り・基本的姿勢が、うかがえる時である。漫然としておれない。

♪北の街では、もう悲しみを暖炉で燃やしはじめてるらしい。理由のわからないことで 悩んでいるうち、老いぼれてしまうから、黙りとおした歳月をひろい集めて暖めあおう 襟裳の春は、何もない春です。♪

 3月。学園から職場から、新人の採用とともに卒業の時を迎える時である。自分の実力を2割増しで評価しなくても、不合理な仕打ちで会社人生を送ったと考えている定年間近のサラリーマン諸君。これからの楽しい人生を知っていますか?あなたを待っている仲間がいます。楽しい地域活動が待っています。そして、もっと勉強すれば良かった、もっと良い論文・レポートを書いておけば良かったと悔いる学生・生徒諸君。不完全な論文を埋める機会が、これからの人生です。学生・生徒で書ききれなかった、詰め切れなかった考え方を社会人として地域社会で行動を起こして下さい。実践して下さい。待っていますよ。
 3月。寒空の闇の中に火の粉を撒き散らしながら燃え上がる大きな松明。荒僧の駆け走る音。響きわたる真言。秘儀の中行われる若水汲み。若狭国の地面から白い鳥と黒い鳥が飛び立ち、その後から湧き出した霊泉の水が地中の水路を通って、東大寺の井戸に再び湧き出すとされている。
 脈々と続く水脈同様、期待を込めて、“仕事”は、もう後輩達に任せて、心おきなく卒業し、折角の人生、自分のために生きてみましょう。また、“暗いと不平を言うよりも進んで明かりを点けましょう!” 3箇月に一度のアイボリー寄席、新免館寄席の落語会。毎月のアイボリーフォーラムに出かける機会が更に増えます。若者と気兼ねなく呑める機会が増えました。少々の小遣いと、時には、あなたの自己変革次第です。

♪日々の暮らしは、いやでもやってくるけど、静かに笑ってしまおう。いじけることだけが、生きることだと飼いならされすぎたので身構えながら話すなんて、ああおくびょうなんだよね。襟裳の春は、何もない春です。寒い友だちが訪ねてきたよ。遠慮はいらないから暖まってゆきなよ。♪

 これから、そんな社会を一緒に築いていきませんか? おめでとうございます。

(『豊中駅前まちづくりニュース』Vol.30に掲載)


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