【まちなかの散歩:7】高校野球発祥の地(2009年3月)

 今月21日(土)から開幕する第81回選抜高校野球大会は、大規模改修を終えた阪神甲子園球場で開催される。昨年のタイガースの汚名挽回とばかり10月から続いていた名物・銀傘の付け替え工事は1982年以来で新しい銀傘は以前の1.4倍、アルプス席以外の内外野を全て覆いながら5Mも高くなり視野が広くなっているという。
 さて、その高校野球大会の最初の会場が、今を遡ること96年前の1913年(大正2年)に、開業(1910年)間もない有馬箕面電気軌道(現・阪急電鉄)によって建設・設置された『豊中グラウンド』である。サッカー・ラグビーの全国大会と共に1915年から大阪朝日新聞の主催で「全国中等学校優勝野球大会」が開催され2回の会場となっている。
 高さ1m余の赤レンガ塀、木製の観覧席、バックネット裏には女性専用席も設置し、スタンド上部には天幕と”よしず”を敷設したという。人気の高まりは大勢の観客を収容しきれず、“球場の窮状”を憂いて、その後1917年の第3回大会以後の鳴尾球場を経て、1924年(大正13年:甲子年=きのえのとし)甲子園球場に会場が移ることになるが、豊中駅から西600mに“球史ここに始まる”と「高校野球発祥の地」「豊中グラウンド跡地」の碑とレリーフがある。
 ホテル・アイボリーに毎年投宿する春夏の大分代表の球児達と共に自らの球運をも願いつつ、まちの歴史に思いを馳せるのも、この時代一考ではないか・・・。

(『豊中駅前まちづくりニュース』Vol.7に掲載)


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