【まちなかの散歩:116】名実ともに“春”を待つ(2018年4月)

 近年稀にみる豪雪をもたらした厳しい冬がやっと去り、春本番、4月の到来である。入学・就職、人事異動・転勤・転居と、期待と少しばかりの不安が混じる新しい生活を始める家庭もあるだろう。
 そして、豊中市にとっては久々に市長選挙が行われる月である。3期12年の間、“大過なく”過ごした市長が退任し、次期市長の選挙は4月15日が立候補の届出日で、22日(日)に投票・開票が行われる。残念ながら毎月1回の配布となったこの「まちづくりニュース」がお手元に届く頃は、激しい選挙戦が戦われているはずである。まさか、市民が関与できない“無風当選”なんてあり得ない。
 さて、国有財産の格安払い下げ問題(『森友学園問題』)で、国会での虚偽証言を疑われながらも“適任者”として国税庁長官になり、就任会見もせず問題視され、結局は辞職した役人がいた。ひるがえって、3期もの長きにわたって豊中市をけん引して来た市政のトップには、今の時代に相応しく、その自治体運営の感想を思う存分語ってもらいたいものである。新聞記事によると退任表明時には、3期12年の実績を「市債残高(借金)を減らしたこと」と述べたと報じられているが、常に強制的に税収が入る仕組みの中で、芸能人に会場貸しする劇場をつくる以外に大きな市民サービスに金を使わなければ余るのは道理である。この“今だけ、金だけ、自分だけ”の時代に、政治家とりわけ身近な行政である市役所の指導者の存在価値が厳しく問われる時である。ただ“市長になりたい”だけで地位につく人でなく、「快く我に働く仕事あれ、それをし遂げて死なんと思う」という意気込みで“我々の預けたお金と権限”を福祉に限らず、道路整備や買物の便利さなどの市民生活向上のために有効に使う政治家が、優秀なスタッフを存分に駆使して組織の存在意義を全うしてくれることを期待したい。
 “市民主体のまちづくり”を正常化させる貴重な機会であり、現在そして未来の市民のためのまちづくりに市民・事業者・行政が「連携と役割分担」を果たす制度の再構築を図る時でもある。

(『豊中駅前まちづくりニュース』Vol.215に掲載)


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