【まちなかの散歩:83】七夕まつりに思う(2015年7月)

 今年も7月12日(日)午後1時から5時まで(通行止めは12時~6時)豊中駅前は歩行者天国となり、「七夕まつり」が開催される。これまで本紙は、『まちづくり掲示板』(2009年8月中旬号・9月中旬号、2011年8月中旬号・9月中旬号)や、コラム『豊中駅前の歴史を振り返る』で何度か取り上げてきている (「豊中駅前まちづくり会社」のHP)が、新しく住民となられた方々や商売を始められた方々に、ここで改めて経緯を説明しておきたい。
 商業者が「歩行者天国にしたい!日頃お世話になっているお客さん、特に子どもさんに喜んでもらいたい」と始めた七夕まつりは、昭和54年、一番街の東側を歩行者専用として車道の真ん中に工事用のバリケードを立て、商店街の両サイドに笹飾りをし、各店舗の前では金魚すくいやヨーヨー釣りなど店を並べた。その時からテキヤは入れないと決めた。「来年からは認めん」と警察に言われたが、実は翌年から本格的な七夕まつりが始まる。銀座通りや新開地市場、阪急市場などが加わって駅前全体のまつりになるが、何よりもそのための関係機関との話し合いと理解を貰うのに大変だったという。当時、歩行者天国が全国では未だ珍しい時代だった。開催にあたり、地元商業団体が中心になり実行委員会を立ち上げ、主体的に実施することを前提・覚悟して、今の七夕まつりが始まった。つまり、地元の商業者が自ら豊中駅前を車に邪魔されず歩きやすいまちをつくり上げようと思い立ち、その夢を形にするため共に必死に汗をかいて来た歴史であった。
 ところで、駅前の商店で買い物をした経験が最近ないという人が少なくないとか。その“仕返し”でもあるまいが、自店の前を通る「通行人」に挨拶をする店主がいなくなった。最近、珍しく声が掛ったと思えば選挙事務所を置いた市議候補だったという“オチ”がつく。いや、上位で当選した。世間では、「100円商店街」という店に、100円の商品を置き、客を店内に導く商業戦略があるが、店頭で“客を入れない店番”がいるみたいと言う知人がいる。そういう指摘は“焦点外”とでもいうのだろうか?
 さてさて、そんな商業者や協賛企業に負担をさせて続けてきてもらった七夕まつりであるが、2年前には、金銭面・労働力ともに商業者だけでは持ち応えられなくて中断との声もあったが、市民が加わって再興してきている。 地元商業者以外が加わっているとして主催者を降りた団体もあるとも聞くが、経緯を見れば本末転倒である。とはいえ、 東京オリンピックの招致に使われた日本の良き風習が、“おもてなし”というなら、豊中駅前の心意気は、“おかげ様”の心を持って、これまで祭りを支えてくれた店主達に礼を言い、そこに参画し始めた地域の方々に感謝の気持ちを形にしたいものである。今年から募金箱が店々に置かれ、当日には会場にも置かれるはずである。赤字を出さずに来年も継続できるためにも分担して駅前の道路が新たな出会いを誘う「天の川」になれば、未来の彦星や織姫も楽しい思い出をつくることだろう。

(『豊中駅前まちづくりニュース』Vol.154に掲載)


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