【まちなかの散歩:84】自転車とルール(2015年8月)

 “自転車操業”にも似た経営を余儀なくされている「豊中駅前まちづくり会社」に関わっている者が、このテーマを取り上げるのは、いささか皮肉ではあるが、7月中旬に好評の「暮らしセミナー」の一環として「自転車とルール」をテーマに設定した。講師は京都・大阪の各学校を中心に講習要請をうけて活躍中の藤本典昭氏である。彼のメールの署名欄には、自転車マークとともに“KEEP LEFT自転車は車両です、車道の左側を走りましょう(自転車安全利用五則抜粋)”と付記されている。
 平成27年6月1日から道路交通法が改正されて、信号無視や一時不停止などの特定の『危険行為』を過去3年以内に2回以上繰り返すと「自転車運転者講習会」を受講しなければならなくなる。命令を受けてから3か月以内に受講しないと5万円以下の罰金を取られる。だが、“違法なら即処罰”という通常の犯罪とは、ちょっと扱いが違うようだ。どうも、警察は昔(一時期ではあるが)、自転車を車道から歩道に上げて走らせた後ろめたさからか、路上駐車の厳しさに比べて、厳しい処分をしない。しかも13歳以下と70歳以上は、この処分規定から外れるという。
 “豊中への愛着”を持って貰おうと、先の豊中駅前七夕まつりで実施して子供たちから好評であった『豊中検定』を真似てクイズを出してみる。いずれも“自転車の乗り方”についての質問である。
・無灯火で走るのは違法か? ・車道の右側を走るのは違法か? ・酒を飲んで自転車に乗っては違法か?・大きな幅の傘立て運転をしては違法か? ・歩道で自転車がベルを鳴らすのは違法か?

 正解は、これらは全て違法で、その根拠が
・車道左側は車から見えやすい、・右側通行(逆走)は危険、・歩道を走ると歩行者との事故になる。やむを得ず、歩行者のそばを通るときは、安全な間隔を空ける。空けられないときは徐行(すぐに止まれる速さ)する。歩道は歩行者のためのものなので、自転車が歩道を通って歩行者との事故を起こした場合、裁判では100%自転車の側に責任があると判断される。(「2010年3月 東京・横浜・名古屋・大阪地裁基準」)とされていることである。

 「豊中検定」で、学校で習ったから「大池小学校は大きな池を埋め立てて建てられた」と全問正解した小学生が、高校生になって歩道を自転車で走ってはいけないということを何処で学ぶのだろうか? 豊中駅前まちづくり推進協議会の本年度の事業計画にも、危険な自転車の走行などについて“まちの作法”(ルールづくり)とマナーの呼び掛けなどの活動を行うとある。さらに思うに、兵庫県で実施されるという「市民が被害者・加害者になってしまって不幸な目に会うことを少なくする」ための自転車保険が、なぜ全国の自治体に広がらないのだろうか。自転車道が確保できないほど狭い道路を拡げる機会を放棄してしまった豊中市政に、市民目線での施策を期待したい。

(『豊中駅前まちづくりニュース』Vol.156に掲載)


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