【まちなかの散歩:88】市民の友好が今こそ有効”(2015年12月)

【特報】豊中駅前まちづくり会社が支援して出版された満州引き揚げ記『嗚呼命(ああいのち)』の著者であり、出版記念の豊中まちづくりフォーラム『8歳での満州引き揚げ記』(2013年8月)の講師である加藤茂氏が11月28日、中国旧満州の玄関口・大連に招かれ「戦争は絶対あかん!」と講演した。今月で94回を数える「豊中まちづくりフォーラム」だが、過日の会場で『嗚呼命』に目に止めた市民の紹介が縁となって実を結んだものである。12月8日は、本紙11月中旬号の『豊中駅前の歴史を振り返る』の記事にもあるように「開戦記念日」である。年末を前に「草の根からの日中友好」が行われたといえよう。日本帰国後70年ぶりの帰国談に期待したい。

 そんな中国に滞在中の友人の話。

「ほとんどの日本人が知らないヒミツだが、中国人は“ニイハオ”とは挨拶しない。“ごはん食べた?”“どこに行くの?”と聞く。本当に食べたか、何を食べたか、何処に行こうとしているのかを詮索しているのではない。ただ、あなたのことを気にしているよ、大丈夫?という優しい声かけなのだ。上海に来て最初の頃は、何故彼らが、市場に野菜を買いに来ているだけの私に、昼食を食べたかどうか毎回聞いて来るのだろう?と、不思議だったが、今となっては彼らの優しさをしみじみと感じる。なぜなら、親しくない相手・外国人には“ニイハオ”と言うからだ。」

 振り返れば、国内外で友好とは逆の対立続きの今年も後わずか。沖縄・辺野古、集団的自衛権・安保法制、TPP、NHKやらせと権力の介入、大阪府知事・大阪市長選挙、・・・日本の未来にとって重要で深刻な対立が起こった。それぞれを流行のように、はしゃぎ・忘れさせるメディアには失望するばかりだが、これらの問題は引き続き注視していくので、ここでは、まちなかの仕組みについて、提言しておきたい。
 この夏から始まった“市民が七夕まつりを支え、お礼の気持ちでしてくれる寄付”制度。「まちづくりに縁があり関わってくれている商人の店で、品物を求め、まちの課題・まちの将来を語る、そんな“売り手よし、買い手よし、世間よし”という姿をこのまちで取り戻してみませんか?七夕まつり、スクランブル交差点改良の話し合い、自転車安全走行講習会、・・・みんなが地域を考え、支えるまちこそ、まちの“仕組み”、“仕事”、“施設”への不断の配慮がされ、安全・安心のまちになっていくのではないのだろうか? “たらいの水”(といっても今では解らなくなっているが)を相手に手で向けるように、自分のことは少し控え、相手を大切にすることで、自分自身と地域社会の資質を高めると考えるのだが、どうだろうか。

(『豊中駅前まちづくりニュース』Vol.164に掲載)


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