【若葉マークの車いす生活:27】「求める支援」と「支援してもらえること」(2020年3月)

※高齢化、怪我・病で余儀なくされる車いす生活。その不安を抱えながら過ごす友人H氏による、古希を迎えて味わう貴重な車いす初体験談。


「求める支援」と「支援してもらえること」

 運動機能障害の難病を患っている妻は、時折イライラする。
 歩行時のふらつきが進行しているので、ケアマネの勧めで補助具として四点杖と歩行車を介護保険で導入した時のこと。実際に使用してみると、身体の状況に合わない。四点杖は固定性が強いことが体の移動に合わない。歩行車は滑りすぎる。共に危険性がある。自費購入のノルディックウォーク用の二本杖の方がむしろ体に合う。業者の方が使い方をとくと説明して帰った直後、「何の役にも立たない!!」
 障害のある人について、何に困っているのか、それに対する適切な支援はどのようなものか。適切に対応することは至難の業だ。まして次第に機能が失われる中では、本人自身が困惑している。福祉の現状は、このような場合の対応が難しい。松葉杖、車いすと過ごしてきた私も、このようなズレは経験している。
 しかし、現状は病人側で対応しなければならないのだ。
 うっかり「まだ病人としての修行が足らんな」と言ってしまった。翌日まで妻から口をきいてもらえなかった。

(『豊中駅前まちづくりニュース』Vol.238に掲載)


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