【若葉マークの車いす生活:9】暴走老人(2018年8月)

※高齢化、怪我・病で余儀なくされる車いす生活。その不安を抱えながら過ごす友人H氏による、古希を迎えて味わう貴重な車いす初体験談。


暴走老人

 電動車いすでは交通信号の順守を意識している。緊急の合の危険回避行動ができなからだ。裏道で車が通らない時も、赤信号の間はじっと待つ。大概の人はチラとこちらを見ながら赤信号を渡っていく。たまに一緒に待っている人がいると、当方を意識して無理をしているのではないかと、申し訳なく思えてくるのは、大阪人の性か。そんな中、信号を待っている保育所年代の子供を連れた母親がいた。立派な交通教育だ、偉い!
 他人のことは言えない。自分もうっかり信号無視をしそうになる時がある。やはり老人の注意力の低下の故であろう。
 だが言い訳になるが、車いすでは、目線の位置が低く、交差点に近づくと信号が視野に入らない時があるのに気が付いた。老人にはこんな車いす利用時の特性もあるのではないだろうか。
そんな折、堂々と赤信号を斜めに渡っていく、電動車いすの同年代の方がいた。そこへ自動車が交差点に入ってきた。幸い事故にはならなかったが。
 昔高校の数学教師が、「どんな時でも赤信号で停止、というのは数学的じゃないね」といっていた。でも、気休めにせよ、傍に迷惑をかけないよう、自分は信号を守る努力をしようと思う。

(『豊中駅前まちづくりニュース』Vol.219に掲載)


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