【若葉マークの車いす生活:4】あの学生はどこに就職するのかな(2018年3月)

※高齢化、怪我・病で余儀なくされる車いす生活。その不安を抱えながら過ごす友人H氏による、古希を迎えて味わう貴重な車いす初体験談。


あの学生はどこに就職するのかな

 車いすでの公共交通機関の利用は随分便利になっている。
 電車も駅で駅員に申し出れば、ホームと車両を橋渡しするスロープを用意してくれる。大阪市の地下鉄の新しい路線では車両とホームの段差が小さいのでスロープを使わずに乗り降りできる。まだ乗ったことはないが、市バスでも利用できるとのこと。
 実際に電車に乗ってみると、車いすの利用者が多いのに気が付いた。同じ車両に乗り合わせることもあった。車いすで出かける人が増えてるんだ!と感慨。(こちらが遅れてるだけか)
 そんな中で、同じ電動車いすを利用する若い人と乗り合わせた。大学生のようだ。さすが若さだ。器用に一人ですっすっと動いて電車を降りて行った。こちらが家人に付き添ってもらって恐る恐るしているのと大違いだ。
将来、彼は電動車いす生活を送りながら職に就きバリバリと働くであろう。
 「君は重度障碍者で初の採用者だよ」と係長に言われた自分の新採時の昔を思い出す。
 しかし、思う。電動車いすではラッシュ時の電車、バス通勤はとてもじゃないが無理だろう。
 彼は、どこで、どのように通勤し、どんな仲間と働くのだろうか。

※写真は「交通バリアフリー基本構想」(豊中市2006年11月)より

(『豊中駅前まちづくりニュース』Vol.214に掲載)


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