【若葉マークの車いす生活:1】まちが“点と線”から“面”へ(2018年2月)

高齢化、怪我・病で余儀なくされる車いす生活。その不安を抱えながら過ごす身に友人H氏から古希を迎えて味わう貴重な車いす初体験談が届く。これから連載します。

まちが“点と線”から“面”へ

 私の最近のビッグニュースは、電動車いす生活の始まりだ。
 幼児期のポリオ後遺症で両足にマヒがあり、これまでも両松葉づえ生活だったが、転倒骨折して歩行が難しくなり、電動車いすを使うことに・・・。同じ障がい者生活も、松葉づえと電動車いすとでは随分と違うと実感した。
 まず、どこに行けるか。松葉づえでは、歩行範囲は数百m。自動車や電車を使っても“点”単位の移動。買い物時も、目的場所以外は周辺でも歩くことは苦痛で、店の様子もファッションも目に入らない。なので、自宅の近くのまち並みもほとんど知らずにきた。まさに“点と線のまちだった。
 電動車いすでは、移動は車いすが黙々とやってくれる。寄り道をしてもモーターは怒らない。時々近くのまち角を用もなくうろついてみて、「わがまちはこんな姿だったのか」と改めて知る最近だ。ただし、商店で店内を車いすで動けるところ少ないが・・・。
 まちが“点と線”から、狭いながらも”面”へとなった。これなら以前から松葉づえ+電動車いす生活をしておけばと思う欲深さ。
 置かれた立場で違って見えるまちの姿を、若葉マークの電動車いすから報告したい。

(『豊中駅前まちづくりニュース』Vol.211に掲載)


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