【若葉マークの車いす生活:22】買い物でコミュニケーション(2019年10月)
※高齢化、怪我・病で余儀なくされる車いす生活。その不安を抱えながら過ごす友人H氏による、古希を迎えて味わう貴重な車いす初体験談。
買い物でコミュニケーション
今乗っている電動車いすは、座席の下の空間が、ショッピングバスケットとなっている。外見上は目立たず、かなりの物が収納できる。荷物を持ちにくい車いす搭乗者には大変便利だ。これがあるので、最近買い物によく行く。大抵は近くのスーパーだ。その店は店の通路が広く車いすで動きやすい。これは助かる。他の車いすの買い物客にも良く出会う。
週一回ぐらいは、スーパーにないものを求めて、少し離れた商店街に行く。商店街は「たまには旨いものを食いたい!」というささやかな願いを実現する場所でもある。そんな時のお店での第一声は、「今日は何がお勧め?」。そこから会話が弾むのも商店街ならでは。隠居老人にとって他人とのコミュニケーションの貴重な機会だ。これはスーパーでは不可能。
果物屋のお兄ちゃんが、「その車いす、四駆かい」と聞く。「いや後輪駆動だよ」などと動車いすのPRもする。昨日は鮮魚店の奥さんが、「太平洋で外国漁船が根こそぎ取ってしまうので、サンマが無くなった」と大演説。国際政治も井戸端会議の大事な議題。
美味しいと勧められて引っ込みがつかなくなり、余計に一品買う時があるのがご愛敬。
(『豊中駅前まちづくりニュース』Vol.233に掲載)
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