【若葉マークの車いす生活:5】(2018年4月)
※高齢化、怪我・病で余儀なくされる車いす生活。その不安を抱えながら過ごす友人H氏による、古希を迎えて味わう貴重な車いす初体験談。
車いすを利用しなければならなくなった人の理由は様々だろう。高齢によるもの、疾病、傷害、CP・・・。
自分の場合はポリオの後遺症だ。生後一年半で罹患した。生ワクチンの導入以来ポリオは収まってはいるが、自分の世代の幼少期は第二次大戦の終結直後であり、劣悪な生活・医療環境の下、ポリオは猛威を振るった。高校の同級生にも同じく歩行障害を持つものがいたくらい身近なものだった。戦争の恐ろしさの一つの形と言っていいだろう。
世紀が移っても世界は戦争と貧困の時代がまだ続いている。最近、日本の周辺に関してもきな臭いにおいが漂う。直接的な殺傷に至らなくとも、軍事的緊張があるだけで庶民の生活環境の費用が切り捨てられる。弱者は真っ先だ。
財政の使い道といえば、経済成長のためとして、強者のためにさらに財政支出強化を主張する自治体の首長も多い。タックスヘイブンもある。税の所得再配分機能はどうなったのか。このあたりの議論をもっとやってほしいと思う。
自分の世代が経験したような事情で車いす利用者が二度と出て欲しくない。それでなくとも、車いす利用者はこれから増えるのだ。
(『豊中駅前まちづくりニュース』Vol.215に掲載)
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