【若葉マークの車いす生活:36】独立した人格は無い?(2022年6月)
独立した人格は無い? 分かっちゃいるけど・・・!
「ああ、“老人”ホームに入ったんだァ!」と、思い知らされることが度々ある。
今回は、歯科治療でのこと。夜中に歯が痛み、痛み止めをもらった。数日後、ホームの定期出張歯科医に見てもらった。
歯科衛生士によるクリーニングの後、若い歯医者が、コンコンと歯をたたき、揺すった後、携帯用のレントゲン写真を見ながら、「大分骨が退化してますね。抜くことになるでしょうね。病院を紹介しますか?」対象は、両上下の奥歯10本ほどになる。ほぼ総入れ歯?「そんなとこでしょうね。まあ、直ぐということでもないので、来週様子を見ましょう。」
ショック!歳をとったなあ、ついに来たか(「保存を言わずに、直ぐに抜歯を言うのは藪医者だ!」と、心の中で叫びながら)。
前置きが長くなった。今回の愚痴は、歯が悪くなったことではない。
翌日、息子から、連絡があった。「歯医者から電話があったので、2週に一回ぐらい定期的に清掃をお願いしておいた」と。
歯の治療方針のことで、何故息子に連絡して、本人抜きに話が決まるのか?息子には、俺が相談すればよいことだ!息子も会社で忙しいのだ。俺はそこまでボケてるかい?
1週間後の診療の日。
言った。「息子に連絡したようですね。でも、これからは私との話で決めていただいて結構ですよ。」
返事。「そうですか。施設との契約で、家族と連絡と取ることになっているので。」
言った。「入居契約の契約者は、私本人です。問題ないと思ますよ。自分では、ボケてないつもりなので(エヘン)。」
返事。「分かりました。これからは、ご本人と話します。」
これまでも、本人が判断、了解すれば済む事でありながら、施設から息子に電話が掛けられることが幾度もあった。その都度、談判して、「この件は、これから、ご本人と話します」となってきた。何回繰り返されるのか。いい加減うんざりだ。
このようなシステムとなっているのも、分からない訳ではない。
語弊がある言い方ではあるが、そもそも、認知能力、判断力、生活の力に問題をきたした人を預かるのが老人ホームだ。だから、入居者が判断するということ自体、無理がある。個別対応するにしても、人的、経営的な面から限界がある。機械的にならざるを得ない。
でもね・・・。あんまり人格無視で官僚的にあしらわれ続けると、今残っている私の元気も消滅して、ヨボヨボになりますよ。
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