【若葉マークの車いす生活:14】人は見かけじゃ分からない(2019年1月)

※高齢化、怪我・病で余儀なくされる車いす生活。その不安を抱えながら過ごす友人H氏による、古希を迎えて味わう貴重な車いす初体験談。


人は見かけじゃ分からない

 散歩途中で同じ電動車いす利用の方と出会った。挨拶を交わしたら、しばらくの間、同行となり、道々話をした。棒杖を抱えているので、自力歩行がある程度は可能と見た。話し言葉も特に不自由と感じない。年齢的に歩行力が弱くなった方なのだろう。自分よりまだ動ける人だろうと勝手に瀬踏みをした。だが、車いすの進行方向が時折ブレている。
 聞いてみると、なんと、彼は半身マヒで、左足と左手が全く使えないという、それだけではない。左目が見えず、時折視野が半分欠けるとのこと。「前からくる人が一人で喋っている。変な人だと思っていたら二人いて、会話していた。近づくまで一人は全く見えなかった。笑えるでっしゃろう」と、スラっと仰る。
 電動車いすで移動するときに、前方確認が十分にはできない状態なのだ。ブレていたのはそのためか。電動車いすの彼と街角ですれ違う、歩行者、自転車乗り、自動車の運転手たちは、誰一人、彼の視野に自分が映っていないと気づかないだろう。危険だ。しかし、彼は電動車いすを使わないと生活できないのだ。
 身体的障害というのは、本当に様々で、外見で分からないことも多い、このような事例もあるのだ。

(『豊中駅前まちづくりニュース』Vol.224に掲載)


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