【まちなかの散歩:95】これも争点でんがな(2016年7月)

 今年で36回を迎える豊中駅前の七夕まつりは7月10日(日)である。七夕まつりの歴史を担ってきた先輩たちが、諸般の事情で残念ながら表舞台から消えていく中、人手不足・資金不足・時間不足等々の困難の中にも拘らず開催に漕ぎ着けようとしていると聞く。敬意を表する。
 また、この日は第24回参議院議員選挙の日でもある。昨年6月に成立した公職選挙法改正により、選挙権年齢が20歳以上から18歳以上に引き下げられてから初めての国政選挙であり、18歳選挙権を適用できる最も早い日曜となる7月10日を投開票日に選んだという。これ以上遅いと、投票日が3連休の7月17日や行楽シーズンの24日と重なるために、それを避けて選挙日程を決めたらしい。
 そういう観点からみると、この選挙の投票日を七夕まつりの開催日に選んだ主催者は「重要な国の行方を左右する選挙であり、自分たちは勿論、子孫にとってどんな生活をもたらすかを左右出来る数少ない機会であると知った知的レベルの高い豊中駅周辺の方々は、これまで通り必ず投票に出かけるに違いない。そして、その子孫への熱い思いを投票に託した足で、同じく次代を託す子どもたちを主人公にして駅前で展開される七夕まつりに必ず来てくれるだろう」と考えたのであれば、あっ晴れである。国政を鋭く観察し、戦略を逆手にとって〝まちを発展させる知恵・戦術″に拍手を送り、期待したい。
 ところで、その選挙の中身である。消費税の繰り延べの評価を国民に問うのだとか。国民の意見を反映したいなら、特定秘密保護法や解釈変更を閣議決定しただけでお茶を濁している集団的自衛権の是非、憲法改正の是非が最も重要な争点であり、現行の原発政策に関して国民の8割近くが反対しても意に介せぬ政府の姿勢も評価の対象とならないか。長年のツケによる保育所不足への批判を“これ幸い”と言わんばかりに「無認可保育所、無資格保育士を増やす」とか。これを〝火事場泥棒”とは呼ばないのか? TPP・農業・医療等も含め安全・安心のための「岩盤規制」を効率主義によって何故破壊するのか?さらには最も懸念すべき状況にある「権力によるメディアに対する陰陽の圧力」の是非こそを私たち側から争点として装填しなければならない。
 これまで何度も苦汁を呑まされたが、生活苦を解消する経済成長を唯一の公約に見せておいて、選挙で多数を占めると〝勝てば官軍“とばかり、全てが委ねられたと暴君のように振る舞うのは、学校で学んだ『民主主義』ではない。多数を占める者が少数者に配慮しつつ権力を行使しなければならない。そうでなければ、権力の座を〝不法占拠“していると指弾されることであろう。
 選挙での「争点隠し」が懸念される中、新・旧住民共通の「七夕に祈る願い」は、これからの駅前が生活者・住民が困る「商店隠し」に遭わないようにということでもある。

(『豊中駅前まちづくりニュース』Vol.177に掲載)


※まちなかの散歩のバックナンバーはこちらをご覧ください。