【まちなかの散歩:69】電線のないまちづくり(2014年5月)

 最近、テレビでは再放送と“懐メロ”番組が目立つ。


振り向かなハハいでぇ~ お願いだハハぁか~ら、今ね、靴下直してるの~よッ、あなたの好きな黒い靴下・・・イェィ、イェィ、イェィ、イェィ・・・

 多感な少年の心をドキドキさせる歌詞に和製ポップスというテンポの良さ、澄んだ声の持ち主であったザ・ピーナッツの歌である。1962(昭和37)年の歌というから、キューバでのソ連のミサイル基地建設を巡って米ソが一触即発という“キューバ危機”があった年のことである。当時、このニュースに今にも世界戦争が起きそうだと世間を震撼とさせたことを覚えているが、今、ウクライナにおけるロシアとの危機は何故か、その緊迫した危機感が伝わらない。持続しない。遠い国のことだと言えば、今も昔もキューバも遠い。外国のことだと言えば、今回もロシア(ソ連)と(欧)米とのことでもある。
 4月からテレビも、かなりの番組が内容を変え、多くの報道番組がこれまで以上にタレントを司会者に採用し、社会の仕組へのコメントをさせる傾向が目立つ。報道と芸能を併せて放送して政治にも興味を持たせるという工夫といえば免責されるとでもいうのだろうか?

 かつて、大阪市生まれの思想家・安岡正篤氏が、第2次世界大戦直後にGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)が日本占領政策として 民主化を打ち出すとともに、その補助政策としてsportスポーツ、Sexセックス、Screenスクリーン の「3S政策」 を用いて日本国民を政治に関心を持たないようにするという愚民政策を採ったという主張をしている。ことの真偽は分らないが、現在の日本の社会状況は、まさにこの通りではないか?
 かつての電車内でのマナーの悪さは、ウオークマン・化粧・携帯・男の足組であったが、今や老若男女を問わない足組に始まり、座席に浅く掛けながら通路の中ほどにまで足を伸ばして歩行を邪魔する奴。網棚に上げずに大きな荷物を足元に置く奴で車内が埋まる。
 “振り向かない”で空を仰ぐと、凄まじいばかりの電線群である。4月15日に豊中駅の人工広場に“まち歩きマップ”が設置されセレモニーが開催されたが、まち歩きをするにしても電柱・電線が多すぎる。課題は大きく多いが優良な社会的資本として良好な住宅地を後世に残していくための取り組みが必要であり、今のままでは“表なし”である。
 そして、無投票に終わってしまった我がまちの市長選挙。豊中にも沢山の政治家がいるのに対抗者として立候補者が出ないことは残念であり、為政者のチェック機能を果たせない。これまでも投票率の低いままの選挙である。市民には、この8年間の市政評価をさせる機会を与えて貰い、これからの4年間の市政の姿勢に刺激を与えたい機会が欲しかった。

 昔の靴下(ストキング)は、戦後強くなった象徴の一つとして持て囃されながらも、「“デンセン(電線)”が入った」と言って多くの女性に嘆かれたが悪いことは伝染する。
 破れ窓や落書きを無くしてコミュニティの安全を確保したニューヨークの事例のように、我がまちでの「3S」(“車”内、電“線”、“選”挙)対策は、何をもってすれば効果ある処方箋となるのだろうか? 一緒に考えて行動に移したいものである。

(『豊中駅前まちづくりニュース』Vol.127に掲載)


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