【敬天塾:154】社会科学で読み解く「集団的アイドル」:なぜ、乃木坂46は頂点に立ち、欅坂46は改名せざるを得なかったのか。(2021年7月)

第154回敬天塾

□主催:豊中まちづくり研究所
□日時:2021年7月28日(水)18時30分から
□会場:阪急豊中駅前 ホテルアイボリー 3階(会場の都合により2階に変更になる場合があります)
□会費:1,000円
□テーマ:社会科学で読み解く「集団的アイドル」ーなぜ、乃木坂46は頂点に立ち、欅坂46は改名せざるを得なかったのか。
□講師:正井昭夫氏(豊中まちづくり研究所主任研究員)

■講演概要

わたしは、一昨年の2月に敬天塾で「欅坂46はファシストか?ー集団的アイドルの今日的位相」と題した講演を行いました。
そこでは、21世紀になってから日本の音楽シーンを席巻しているかのように見える女性アイドルグループ群を「集団的アイドル」と定義し、その歴史と支持構造、市場戦略等を概説し、乃木坂46を「集団的アイドル」の「正統」、姉妹グループの欅坂46を「異端」と位置づけ比較論を試みました。
その後、乃木坂46はエースの西野七瀬、白石麻衣らが相次いで「卒業」しましたが、相変わらずトップセールスのCD売り上げ・ダウンロード数を誇るのみならず、メンバー写真集や著書はどれもベストセラー、「卒業生」を含め映画や舞台、TVドラマ、バラエティ・情報番組などにも引っ張りだこで、いまや芸能界の頂点に君臨しています。
一方、欅坂46は、昨年1月に絶対センターの平手友梨奈が「卒業」を拒否してグループを脱退、メンバーのスキャンダル発覚による離脱も相次ぎ、10月には櫻坂46と改名し再スタートせざるを得ない状況です。
この違いはいったい何なのでしょうか。
「集団的アイドル」における「正統」と「異端」、ふたつの代表的グループの道程の差異に、日本の音楽業界、あるいは日本社会の特質がどのように関連しているのでしょうか。
これを解き明かす手掛かりとして用いるのが社会科学です。
わたしは、日本の社会科学の蓄積は最強無双だと思っています。
なぜなら、戦後の歴史学、経済学、法学、政治学等の学術研究の歩みにおいて、諸外国での学問業績をどん欲に取り入れ真理探究ための切磋琢磨を繰り返しながらも、わが国・社会の近代化と民主化の追究という軸足を揺るがすことなく研鑽されてきたからです。
敗戦でマルクス主義が流行ればマルクス風に、高度経済成長で近代化論が席巻すれば近代化礼賛に、ソ連が崩壊し新自由主義が抬頭すれば何でも市場原理に付和雷同するのとは訳が違うのです。
今日、アメリカ支配の地盤沈下と中国の台頭、弱肉強食の市場経済の中での格差の拡大、ポピュリズムと強いリーダーへの憧憬、そして新型コロナ禍の混迷の中で、チャラチャラした最近の研究者・評論屋からは「オワコン(終わったコンテンツ=時代遅れで役に立たないと言う意味)」扱いされている社会科学をもう一度真摯に繙く時期が来たと考えます。
このたびの報告は、前回の「再論」ないしは「続論」の体ではありますが、初めてお聞きになる方にも用語などを分かりやすく説明し、これまで蓄積された社会科学の概念装置や分析手法等を使って、「集団的アイドル」の成立構造とその変質を明らかにしたいと思っています。

■講師プロフィール

1957年生まれの元自治体職員。
大阪市立大学法学部で、ファシズム論の権威・山口定氏の下で政治学を学んだ後、30数年間地方自治体職員として勤務。
その間、縁あって、佛教大学や大阪府立看護大学などの非常勤講師を歴任。
現在は、いくつかのまちづくり研究会や社会科学系研究会、読書会で自己研鑽を続けるかたわら、地域防災リーダーとして地元町会やマンション管理組合で防災活動に携わっています。
豊中まちづくり研究所主任研究員。

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