【若葉マークの車いす生活:31】想定外!(2020年7月)

※高齢化、怪我・病で余儀なくされる車いす生活。その不安を抱えながら過ごす友人H氏による、古希を迎えて味わう貴重な車いす初体験談。


想定外!

 これも、車いすの定期点検時に聞いた話。
 我が愛車と同機種の電動車いすで、「走行中に車輪が外れてしまった」という事故が発生したとのこと。思いもよらないことが起こるものだ。
 その利用者の方は、普段から少々の悪路や段差でもスピードを落とさず突っ走る(電動車いすだから「歩く」か?)タイプだそうで、事故時も、かなりの段差をスピードを緩めずガタンと降りたところ、右前輪が外れコロコロと転がっていったそうだ。一輪だけのことで車体も傾かなかったため、本人はそのまま気づかずに走行していたが、近くにいた人が「外れましたよ」と声をかけてくれたので始めて気が付いたそうだ。
メーカーも始めての事故で、原因を調査中だが、定期点検では念のためそれらの個所を十分見るようにという指示があったとのこと。
 車いすが道路から受ける衝撃の激しいことは前にも書いたが、最近、介護福祉士の方から、「資格取得のための専門学校時代、車いすに乗って外出をする実習の時、車いすでは衝撃がこんなに激しいのかと驚いた」との話を聞いた。普通の人にはこの乗り心地問題も“想定外”だろう。
 コロナ肺炎、豪雨災害に揺れる日本。“想定外”という言葉を頻繁に聞く。しかし、そもそものっけから災害想定作業をしないおエライ政治家、官僚というのは、市民にとっては“想定外”だ。
 都市制度、まちづくり、福祉施策、医療制度においても、「安上り」以外に何を“想定”し対応準備するかが問われている。


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