【まちなかの散歩:66】雲海(2014年2月)

 “誤魔化す”。元々、“弘法大師(空海)の有り難い護摩の灰”であると偽り、“ただの灰”を売りつける詐欺師がいたことから、人目を紛らすことや気付かれないように不正を働くことを「誤魔化す」と言い始めたとか。足りない財源を補うために必要と言って消費税アップを行うのに、消費税導入で落ち込んだ景気を〝税によって景気アップ“する、なんじゃそれ?という政策の類のことや、2月のキャンプイン目指してプロ野球選手が行った「護摩行」も修業と称して衰える体力を維持するために涙ぐましい努力をしたアリバイ作りもそうなのか。
 生野銀山の見守り城としての竹田城も今や早朝に発生する「雲海」のcmで有名になっているが、“雲海”の下にかつて権力者が争奪を目ざした銀山があることは想像できない。同名の銘柄焼酎「雲海」は、胡麻ではなく蕎麦で作るが、味には“胡麻化し”はない。

 年明けに某市議会議員グループの挨拶状が新聞折り込みで舞い込んだ。首長を挟んで並ぶ議員達。これが、市議会議員の選挙の際には、議員達が首長の推薦を受ける構図なのか。どうにも違和感がぬぐえない。
 国の政府は、議員内閣制で多くの議員を選挙で得た政党が政府をつくり、政策を実施する。だが自治体は、2元制であり、大統領制である。
 議員の選挙で、首長の推薦を受けることを誇りとする政治家は、何のために議員で居るのか。首長提案に賛同だけしている議員なら、いなくても首長が政策は何とかやってくれる。民意の反映を期待するだけなら住民投票で十分。議員提案もせず、首長の政治姿勢のチェックも出来ない様では、NPOを金儲けの名目とする “NPO業”だと言われて久しいが、生活のため、我が身可愛さに行動するのでは“議員業”と言われてもしかたないではないか!
 明石市では数々の住民運動が試みられている。そろそろ、民意を議員が反映できないで大政翼賛会式の行動を続けるならば、市民も行動をおこすべきなのか?学校で習ったように主権在民である。何もしなければ、料金前払い(事前徴収)の会計は黒字になるに決まっている。そんなサービスも受けずに黒字になっていることを喜び、税金を納める市民が未だにいるだろうか?
 課長・島耕作ならぬ、「視野狭窄」で、駆け引きの相手、あるいは、利益誘導をしてくれる権力者しか見えない政治家達には、残念ながら“雲海”が遮る地上の市民の顔が見えていないのではないか?
 東北大震災から早や3年が過ぎ、あの阪神淡路大震災からも19年である。国も地域も誤魔化さずに正面から向き合って行きたい。
 4月に、このまちの首長選挙と市議の補欠選挙がある。心したいものである。

 最後に、誤魔化しの無い情報を提供したい。本コラム『まちなかの散歩』(2008年9月号から2013年12月号まで)と『豊中駅前の歴史を振り返る』(2009年3月号から2013年12月号まで)をまとめて発行にこぎつけられた。それぞれ700円で頒布するので、昔を懐かしむ方々、新しく豊中駅前に越してこられた方々、あるいはサークルでの読書会の文献、ご親戚へのご紹介を期待している。また、好評で品薄になっていた『嗚呼命』の増刷が出来上がった。まちづくり会社にあるので700円のカンパで学校やサークルでの教材としてもご活用頂きたい。

(『豊中駅前まちづくりニュース』Vol.121に掲載)


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