【まちなかの散歩:29】見える仕組み、見えない仕組み(2011年1月)
2011年。平成23年。卯年、うどし。うっとうしい。正月早々、縁起でもないと罵られそうだが、暮に買った『エコノミスト』に「閉塞感漂った2010年。3人の人物を通して見た日本社会」というタイトルの読み物があった。以下は引用である。
「2010年は、閉塞感が漂う1年であった。政治にしても経済にしても世界中に閉塞感が蔓延しており、なかでもその傾向が顕著なのが日本だった。そんな希望の光のささない現在では、「人物」の顔が霧に隠れて見えにくい。それでも、3人の人物をあえて取り上げて、日本の現在を考えて見たい。」
そして1人目が「婚活詐欺女」の木嶋佳苗被告、2人目が「sengoku38」の尖閣列島沖の中国漁船衝突映像をサイトに流した海上保安官、3人目が皇后美智子さまである。先の誕生日で「この数年仕事がとてものろくなり、探し物がなかなか見つからなかったりなど、加齢によるものらしい現象もあり、自分でも面白がったり、少し心細かったりしています」と答えられたことに、自分の高齢化を突き放してみることの知性、加齢をおかしがる精神的な余裕、心細いながらも面白がってしまう感性が凝縮している。さらに、「心身の衰えを自覚し、これを受け入れていくことと、これに過度に反応しすぎることとのバランスをとっていくことは容易ではない」と続けられていることに高齢化社会の理想的な老い方としてとらえている。論者は、「今年に入り、無縁社会、年金不正受給問題など高齢化の歪が報じられている。現在の本当の問題は「共同体の崩壊」などというべきベタな世界にあるのではない。」と断じているが、凡人には理解し難い。
先に、長良川の上流の山深いまち・水利用の知恵を持つまち・郡上八幡を訪ねた。『水の恵みを受けるまちづくり』(鹿島出版)を読み、「水辺との出会いマップ」を事前に調べて行ったが、短時間での滞在では、“見える仕組み”と“見えない仕組み”を知らされた旅であった。
このまちづくりニュースは、この1月合併号で50回を迎える。アイボリーフォーラムも35回を数える。アイボリー寄席は2月22日に10回を迎え、記念のスペシャルゲストに還暦を迎えられた林家染丸師匠に出て頂き盛り上げたいと考えている。同様に新免館寄席は1月18日で6回目となり、それぞれ熱心な落語ファンに支えられている。また豊中駅前まちづくり会社が1999年12月21日に誕生して12年目を迎えることになる。
私達は、こうした細々とした会社の活動を通じて、地域社会の見える仕組み・見えない仕組みを活かし、手入れし、改めていくことを心がけています。
昨年にも増して今年もよろしくご指導・ご理解・ご協力をお願いいたします。
(『豊中駅前まちづくりニュース』Vol.50に掲載)
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