【フォーラム:71】都市交通戦略の新たな地平:新たな価値を育むモビリティデザイン(2014年1月)

第71回豊中まちづくりフォーラム

□日時:2014年1月28日(火)18時30分から
□会場:摂津水都信用金庫本町支店チャオパルコ セミナー室
□テーマ:都市交通戦略の新たな地平:新たな価値を育むモビリティデザイン
□講師:土井健司氏(大阪大学大学院工学研究科教授)

■講演概要

超高齢社会を迎えたわが国においては、安全性や快適性などの移動の質の早急な改善が求められる。市民の移動の質を向上させるためには、都市間や拠点間を速達に結ぶ「フアストモビリティ」と都市内や集落内での交流や回遊を支える「スローモビリティ」との階層的なネットワークの構築が重要となる。
後者のスローモビリティとは、ヒューマンスピードに近い速度での移動手段あるいは移動形態を指し、持続可能な都市を実現する上での鍵とされている。また、スローモビリティとは時間や経済性以外の価値を重視するものである。スローな価値とは、人と人をつなぐコミュニケーションの価値、人と場所をつなぐことによる回遊性の価値、場所性やアイデンティティ創造の価値である。洗練されたデザインを誇るLRTや自転車に加え、普及が始まろうとしている超小型電気自動車や低速電動コミュニティバスなどのスローモビリティは、地域に密着し愛情・愛着を生み出す感性装置としての可能性を大いに有している。
移動手段のデザイン、道路や鉄軌道などのインフラデザイン、そして沿道・沿線や交通結節点の空間デザイン、地域社会のコミュニティデザイン、これらを含むトータルなデザインがモビリティデザインである。新たな価値を育むモビリティデザインを原動力としてインフラや空間の変化を促し都市・社会の変革をもたらす戦略シナリオが必要とされる。